英語に敬語はない? ビジネスメールでのパワーバランス。

時に「英語には敬語がない」という人がいますが、そんなことはありません。
英語も「人間同士のやりとり」のための「言語」ですから、相手に気を使うことは当たり前にあります。
確かに、「日本語の敬語に該当する表現方法」はないのですが、英語では文の構造や文章全体の構成を工夫することで「丁寧さ」を表現します。

こういった「丁寧さ」を特に意識すべきなのは、ビジネスシーンでのメールのやりとり。
一緒に仕事をする相手に不快な思いをさせないよう、一社会人として節度を持ったやりとりが出来るようにしましょう。


契約書を始めとする公式文書程の “重さ” はなく、世界のどこにいても “ほぼ” on demand でやりとりが出来るメール。
実は、お手軽だからこそ、見逃されてしまいがちな点もあるのです。

メールを書く上で、文法やスペル、ある程度の書式スタイルなどが大事だということはご存じでしょうが、
それ以上に大事なのは相手とのパワーバランスの取り方です。

日本語でしたら、みなさん自然におこなわれていることですが、
英語となると、英文を書くことだけに一生懸命になってしまい、細やかな点を疎かにしてしまうことが多いのです。

パワーバランスというのは、その言葉通り 「相手と自分の立場関係のバランス」 のことなのですが、
英語には日本語のように単語レベルの敬語表現はありませんので
(代わりに丁寧語や文章全体の構成などで敬語表現をします)
慣れるまでは日本語の単語レベルで表現できる敬語表現よりも難しいと感じるかもしれません。

例えば、「明日までにファイルを送って欲しい」 と伝えるのにも。。

相手の立場、
自分の立場、
相手の会社の立ち位置、
自分の会社の立ち位置、
その判断の確信さ、
相手の性格(気難しい人か。。など)、
相手との人間関係、
相手の過去の仕事ぶり、
依頼内容の難易度、
自分が正しいと思う確信のレベル、
問題の重要度、
相手の仕事の忙しさ、
更にはその締め切りが週の何曜日になるか、
相手の国籍または文化、
相手の英語力。。

 

などを全て考慮してから

"Please send the file by tomorrow." と伝えるだけで良いのか、

"Do you think you can send the file by tomorrow? It would be great if you could send the file by tomorrow." と低姿勢でお願いするのか、

"I need the file by tomorrow." と直接的に言うべきなのか、

"The deadline of the file submission is tomorrow." と事実だけを伝えるのかを、決めていきます。

一般的な相手には丁寧な表現で。礼儀正しく。

(1番安全なのは上記の2、3 個目の例文。相手に No と言えるスペースを残しています。もちろん実際に No と言われたら困るのですが!苦笑)

ちゃんと納期を守ってくれるか分からないような小難しい相手には、少しキツい表現を使うことも必要となります。

ただキツい表現と言っても、相手個人を攻撃するようにとられてしまう文章は絶対に避け、
さり気なく自分の権利を主張し、自分の目的に辿りつけるよう相手の協力を仰げば良いのです。

 

1番良いのは、総合的な英語力をつける勉強を地道におこなって頂くことなのですが
「どうしても今すぐビジネスで英文メールを書く必要がある!」という場合には、この本がお薦めです。

相手を必ず動かす英文メールの書き方/ポール・ビソネット

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本質を捉えたうえでの例文が多いので、そういったものを参考にしながら、各例文の引き出している語感を感じ取っていってください。

ただ、ビジネスメールでのパワーバランスにしても
総合的な英語学習を上手におこなって、英語ネイティブの感じている語感を大事にしていけば
こういった本を参考にしなくても、自分で適切な英文が書けるようになっていきます。

ですので、やっぱり英語学習は総合的におこなってくださいね。

そして、言語を使うのは人間だということは忘れずに。

英文メールを書いていると、英文自体にばかり意識がいってしまう人が多いのですが、読む相手自身のことも思いやってあげてください。