英語の冠詞
英語の冠詞について簡単にご紹介しています。
不定冠詞 (a/an) | ゼロ冠詞 (∅) | 定冠詞 (the) |
イメージ:any と one
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イメージ:無形 (存在すべき冠詞がない、という考え方をすることがポイント) |
イメージ:”that one!” という感じの共通理解* (特定したり限定したり) |
例:an apple 実際に形を感じている。 どれでもOK感(指定なし)。 |
例:apple
形を感じない。単に辞書に書かれている定義を読んでいる感。 |
例:the apple 実際に形を感じている。 「あのりんご」(指定感あり)。 |
例:a glass of water
不定冠詞のa を付けるとトレイに乗せた感じ。a set of ~、a series of ~も同じ。 |
例:water
液体なので物理的だけど容器がないと形を留めていられない、形がない感じ。ボワーッと感。 |
例:the water
「あの水」感(指定あり)なので「コップに入った水」を指すこともあれば(例:Can you please pass me the water?)「海や川」を指すこともある(例:I can’t believe he went in the water! It’s still March!)。話し手と聞き手に共通理解があれば、その対象物は何でもOK。 |
例:I go to a school. どこの学校かまでは詳しく表現していないけど、例えば「日本国内にある1つの学校」「ファッション系の、とある学校」というように集合体を意識したうえでの「1つの」学校に通っている、というイメージ。 |
例:I go to school. こういう時は、学校の校舎の形を感じているというよりも、「学びの場」としての学校の概念を感じている。 |
例:I go to the school. 「あの学校だよ」という指定感あり。特定している。 |
「定冠詞神話」に騙されないで!
定冠詞(The)使用に関して「同じ単語が繰り返し使われる際、2番目以降にはTheが付きます」と説明されることがありますが、これは「そういう場合もある」というだけ。
I have a book. The book is…という文章では、確かに2番目の冠詞としてTheが付けられていますが、これは「話し手と聞き手の共通理解がある例」なだけなのです。
必ずしも2番目以降だけがTheになるわけではなく、最初からTheを使う場合もあります。
例)The fact is that Dr. Lin prescribed unlawful drugs.:初めて聞くFactだとしても、That以下に具体的な説明がくることから、「The」を使って「Fact」の幅を最初から制限しています。
例)I live in an apartment overlooking the river.:聞き手が「その川」について何も知らないとしても、この文章内で「私の住んでいるアパートから見える川」という共通理解が生まれているので、「その川」について前述されていなくても、最初からここで「The river」と言ってしまうことも出来ます。
冠詞の理解ポイント!英語は「形があるか、ないか」で考えると分かりやすいですよ。(*^^*)
形があるなら…それについて情報を付けてあげましょう。
指定感のない「A (any) bear」? 指定感のある「The bear」? それとも「My/Your bear」?
こうして名詞の前にきて「名詞の情報を補う役割」をする品詞を「限定詞/Determiner」と呼びます。
限定詞の例:a/an, the, my, your, her, his, our, -‘s (as in Taro’s), this, that, these, those, all, some, many, two (and other numbers)
例えば、米国大統領の演説では米国のことを ”Our country” と言ったりします。実はこういうところに
話し手の気持ちが乗っかっています。同じように、冠詞も大事な情報を運んでいるのです。
形がないなら…そのままボワーッと感を出す表現でOKか(例:water)、仕切りを作ってあげた方が良いのか(例:a glass of water)ケースバイケースで判断していきます。
例えば「hug」は無形ですが、”Give me a hug.” というように冠詞を付けることがあります。これは
“Give me hug.” だと、どんなhugをどのくらいすれば良いのかイマイチ分からないから。”Give me a
hug.”は、「Any hug(どんなhug)でも良い」と、相手に親切に情報を伝えてあげているのです。
オモシロ小話。The を付ける?付けない?
1日の時間帯を示す単語に定冠詞のTheが付けられることが多いです(例:the morning, the afternoon, the evening)。これらの時間の範囲/区間は
「1日の中で今はこの時間」と言うように「感覚」で把握することが出来ます(一般的に、日が昇って正午までがmorning、そこから日没辺りまでがafternoon、そこから就寝前までがeveningですね)。
これは人によって微妙に異なる感覚ですので、共通理解のために冠詞のtheが必要になります。
そしてnightですが、寝ている時間は範囲/区間としてではなく一つの塊として考えられます。
そのため心の中で時計の文字盤を指さすような感覚でatが使えるのです(at night)。
この時、冠詞(a/an/the) をとりませんが、これはat自身が「ダーツで狙っている感」を出しているので、冠詞を使って名詞を限定する必要がなくなるからです。
稀にin the nightという言い方もしますが、それはin the morningなどの用法が応用されて可能となっている表現方法です。
(より詳しい説明は、すずきひろし&ミツイ直子著「イラストで広がる英語の世界 前置詞編」をご覧ください。)