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英語の助動詞

ついつい「日本語対訳」で判断されがちの英語の助動詞ですが
実はそこには、話し手の気持ちが乗っかっています。

その「感覚」を正しく理解していけるようにしましょう。

 

Screenshot (752)

 

どの助動詞を使うか、そもそも助動詞を使うかどうかで、話し手の考えや感じていることが予測できます。
英語に触れる時はこういうところまでをも捉えていってくださいね。

 

100%        She is in love.
Certain        She must be in love.
Probable     She may be in love.
Possible      She might be in love.
She can be in love.
She could be in love.
0%         She is not in love.

 

 

時に、「mustとhave toは“~をしないといけない”という意味だから同じだ」という説明を見かけますが、
この2つのイメージは大きく異なります。
例)I must go to school.
例)I have to go to school.

 

mustは王様が命令をして「これをしろ」「これをするな」と言っているイメージ。
have to は「英語の時制」で見たように、自分のパーソナルなHave空間に
「これをする」という「やることリスト」を持っているイメージです(否定形の時は、そのリストがないイメージ)。
例)I must go to school.(強制されている感)
例)I have to go to school.(やることリストの1つが「学校に行くこと」という感じ)

 

英語の時制

まず、思い込みを取り払いましょう!

一般的に「時制」と言うと (1) 現在形、(2) 過去形、(3) 未来形、(4) 現在進行形、(5) 過去進行形、(6) 未来進行形、(7) 現在完了形・継続、(8) 現在完了形・経験、(9) 現在完了形・完了、(10) 現在完了進行形、(11) 過去完了形・継続、(12) 過去完了形・経験、(13) 過去完了形・完了、(14) 過去完了形・大過去、(15) 過去完了進行形、(16) 未来完了形・継続、(17) 未来完了形・経験、(18) 未来完了形・完了、(19) 未来完了進行形、というように区分けされ、説明されています。

でも、まずはこの思い込みを取り払い、もっとシンプルに英語を英語のまま理解してみましょう。

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ここでは (1) 過去(2) Haveシリーズ(3) 現在(4) 未来、と区分けしてみていきます。

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PastTenseThumb

(1) 過去:(助)動詞の過去形

「いま現在」から「遠い距離」を感じる。過去に起きて過去に終わっている。
金太郎飴のようにぶつ切りなイメージ。
例:I went to New York a few years ago.
過去のぶつ切り情報だから「いつ?」という情報が欲しくなる。

過去形のぶつ切り感&「今」から遠い感覚 を上手く利用している表現
① 仮定法。
「あり得ない」という前提で話している。(例:If I were you…)
「現在から遠い場所」というニュアンスの感じられる過去形を使うことで、
現在(事実)からの距離を感じさせ、非現実さを表現している。
② 丁寧表現。
助動詞を過去形にすることで遠回しな表現にしている。
(例:Can you?→Could you?  Will you?→Would you?)
日本語でも「~して頂けましたら幸いです」と遠回しに言うことで
(自分が一歩引いて距離感を出すことで)丁寧さを出すことがある。それと同じ。

 

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HaveTense
(2) Haveシリーズ:Have+動詞の完了形

そもそもHaveと言うのは…
自分の身体周辺に感じるパーソナルな空間内に「持っている」イメージ。

現在完了形(Have+過去完了)
過去に起きたことが経験としてパーソナルなHave空間に入っているイメージの時、現在完了形を使う。
例:I have been to New York.
New Yorkに行った経験を大事にしている感がある。
過去完了形(Had+過去完了)
過去に立ち、その時点でHave空間に入っている経験をみて、振り返っているイメージ。
例:When I arrived, the presentation had already begun.
「着いた時」という過去の一点を足場にして、その時のHave空間の
状態を伝えている。
未来完了形(Will have+過去完了)
未来に立ち、その時点でHave空間に入っているであろう経験を予測しているイメージ。
例:Your English will have improved by the time you come back from Canada.
「カナダから戻ってくる頃」を足場にして、
その時のHave空間はこうなっているんじゃないかな?ということを伝えている。

継続?経験?完了?
Have+完了形シリーズは、よく「継続・経験・完了」のどれを表すのか?というように分析されるが、
実はどれも「Have空間に入っているイメージ」が共通点。
前から継続していることだからHave空間に入っているのか、
大事にしている経験だからHave空間に入っているのか、
完了したばかりでその印象が強いからHave空間に入っているのか…という違いなだけで、
大事なのは「Have空間に入っている」ということ。

○○完了進行形?(Will have/Have/Had been –ing)
Have空間のイメージ+進行形の「躍動感、アクション感」の融合。
詳しくは現在セクションの進行形参照。

 

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PresentTense
(3) 現在:(助)動詞の現在形
「いま現在」というピッタリ感。自分との距離はナシ。

時空を超越した普遍性のあるものに対して使う(過去も未来もそうだと言えることや習慣)。
例:車を持っています。I have a car.
例:地球は大量の周りを周る。The earth orbits the Sun.
確定した未来の予定に対しても使える。確定しているから今の自分とのブレがない(ピッタリ感&距離がナシ)
例:明日絶対にあの車を買うよ。I buy the car tomorrow.
例:Ready or not, here I come.(かくれんぼの時、鬼が探し始める時の声掛け)

注意!
日本語で考える「現在形」は、英語の現在進行形に対応していることが多い。
例:私はいま、コーヒーを飲んでいます。→ I’m drinking coffee.

(3) 現在:Be動詞

省略されていない時は、そこに「在る」という力強さ。
例)I am a teacher.
例)“I’m not beautiful.” “Yes, you are!”
省略されている時は、オマケなイメージ。
例)I’m your friend. → 大事なのはI=your friend。
省略できる=ルールだから一応そこに置いておきましょう感。

(3) 現在:現在進行形(Be動詞+-ing、Have been+–ing)

活き活きとした躍動感やアクション感。
例)I’m dancing!
アクティブさが低めの動詞は現在進行形の形になりにくい(不可能ではない)。
例)I know it. → (´・ω・`) I’m knowing it.

McDonald’s 社がキャッチコピーとした “I’m lovin’ it.” というのは、アクティブさが低く
現在進行形になりにくいLoveという単語を(Loveは行動というよりも状態を示しているから)、
敢えて躍動感のある現在進行形にしている、オシャレな言語使用です。
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FutureTense

(4) 未来:Will

will は助動詞(動詞を助ける品詞)。動詞の前にきて話し手の気持ちを添える。

助動詞一覧

現在形 will can may shall must
過去形 would could might should
イメージ 意志 能力、可能性 許可出し感 提案、義務感 王様命令感
例文 I will marry you. I can marry you. You may marry me. You shall marry me. You must marry me.
雰囲気 あなたと結婚する意志があります。 あなたとの結婚は可能性としてあり得ます。(例:親の反対がない、法律的にも金銭的にも問題ない) あなた、私と結婚しても良いわよ。そういう許可をあげるわ。 あなたは私と結婚する義務があります。 私との結婚は命令だ。他の選択肢は一切ない!

will がある文章は、未来を向いているから「未来形」と思われがちだけど、あくまでも話し手の「意志」
未来を断言している「未来描写」ではない。

(4) 未来:Be -ing

現在進行形の躍動感を借りて、未来にそのまま進んでいくイメージ。予定。
例:I am buying the car tomorrow!

(4) 未来:Be going to+動詞

前置詞toのコアイメージ「矢印の感覚(→)」があるので、
「その方向へ進んでいきたい!」という希望が含まれているイメージ。
例:We are going to buy the car tomorrow.
上のBe –ingより勢いは劣るけど、冷静さがある。

※前置詞 toのイメージに関してはすずきひろし&ミツイ直子著「イラストで広がる英語の世界 ~前置詞編~」をご覧ください。

洋書を読んだり洋画を観たりして英語に触れる時は
表面的な単語の羅列の内容理解を目指すのではなく、
こうした「時制のイメージやニュアンス」をも感じていくように心がけましょう。