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英語の構文

五文型って、そもそも何?

五文型は英語の文章を5つのパターンに振り分け、分析したものです。
ただこれは2015年現在、日本以外の国では使われていないと言っても過言ではなく、
事実、ほとんどの英語圏のネイティブスピーカーの先生方は五文型を知りません。

五文型というのは間違いなく必ずしも必要な知識ではないのです。

一応、復習しておきましょう。これが五文型です。

第1文型:主語+動詞(S+V)
例)I run every morning.
第2文型:主語+動詞+補語(S+V+C)
例)I am a runner.
第3文型:主語+動詞+目的語(S+V+O)
例)I bought new running shoes yesterday.
第4文型:主語+動詞+間接目的語+直接目的語(S+V+O+O)
例)I gave you new running shoes.
第5文型:主語+動詞+目的語+補語(S+V+O+C)
例)I saw you running last night.

五文型は本当に必要ない?

五文型の理解は必ずしも必要ありません。
特に英語圏への留学機会がある学習者であれば、細かい文法ポイントを理解せずに、
個々の努力次第でネイティブレベルの英語力を身につけることも可能です(もちろん留学形態や年数にもよりますが)。
ただ、学習者の性格や学習タイプ次第では、五文型を始めとする文法ポイントを上手く利用して、英語力を身につけていくことも大いに可能です。
特に英語圏への留学機会などがない場合は、こういう文法ポイントを利用した方が、身につけられる英語力は確実に高まります。

Lang Leaves Education のスタッフが第二言語習得の研究をしている際、
3歳の日英バイリンガルの幼児が「飛行機が海に落ちた」と言う時に、
日本語では「落ちちゃったね」「海に落ちちゃった」とだけ言っているのを観察しました
(「飛行機が(海に)」という部分を省略していた)。

同日、その幼児は同じ内容のことを英語で “The airplane fell into the ocean.” と、きちんとした文章で表現していたのです。
その幼児の日英両言語の習得バランスに問題はなく、どちらもモノリンガルスピーカーと同レベルの言語能力を持っていました。
つまりこれは、その幼児の言語発達が原因ではありません。
これは、英語では(そしてfall という動詞を使う時は)
「どこに落ちた?」という情報をきちんと入れる必要があるから
表面化した違いなのです。

そう、言語によって補うべき情報も情報量も異なります。
五文型を始めとする文法ポイントを学ぶ時には表面上の文法用語に惑わされることなく視点を高く持ち、
「英語という言語」を観察していくような気持ちでいましょう。

五文型を始めとする文法ポイントを学んでみたい人への助言は?

文法を学ぶ時には「視点」を高く持ちましょう。そうでないと細かい知識の寄せ集めになってしまいます。
例えば前述した五文型の五つの文章構造を見て「Sの後にはVがきて…」と考えていくのではなく、
そこから少し視点をあげて「英語って“動詞の後に不足した情報が足されていく”んだな」と気付きましょう。
例)I love →「え、誰を?」→ you.
例)I live →「え、どこに?」→ in Taiwan.
例)Do you have →「え、何を?」→ something →「どんなもの?」→blue?
例)Satomi gave →「え、誰に?何を?」→ him a pen.
例)You saw →「え、何を?」→ me running.

そして「もしかして“動詞”がキーポイントなのかな?」と気付けた人は大正解。
英語で大事なのは「文の型」ではなく「動詞」なのです。
どんな動詞を使うかで、どんな情報をどのくらい足していく必要があるのかが決まってきます。

もちろん、前述した「五文型」を徹底的に解説しないといけない仕事を担わされた英語の先生は、
前述した「五文型」をきちんと理解する必要があります。
でも、あなたはどうですか?五文型を徹底的に理解する必要はありますか?

五文型を徹底的に理解する必要がある方は五文型について書かれている文法書をご覧ください。
英語の構文の本質だけ見極められれば良いという方はこのまま読み進めてください。

まず、典型的な英語の動詞パターンをチェックしましょう。

典型的な
動詞パターン
イメージ よくあるパターン 例文
1 単純動作系 動詞のパワーが自分に戻ってくる。

Screenshot (628)

前置詞とくっついて詳しい情報を提供(例文2,3参照)。 1. I run every day.
2. I run at Central Park.
3. I am waiting for my mom.
2 力が飛んでいく系 動詞のパワーが物や人に向かう。Screenshot (629) 動詞の後ろに名詞が1つ置かれる。 1. I know Sally.
2. I punched him.
3. I’m learning Karate.
3 Give系 動詞の意味に関係なくGiveのイメージがある。Screenshot (630) 動詞の後ろに「誰に」「何を」という2つの情報がくる。 1. I gave her a bouquet of flowers.
2. I teach them science.
3. I made him a cake.
4 矢印パワー系 To の矢印パワーで進んでいく。
Screenshot (637)
Toの後ろに続く情報が現実化するよう、働きかけている。もしくはTo矢印の向いている方向を見ている。

 

前置詞toのイメージは「到達点まで一直線に向かう矢印」です。詳しくはLang Leaves EducationのYouTubeビデオ「前置詞 ToとFor」をご覧ください。

1. I went to school.
2. I asked my dad to cook.
3. I convinced her to drive.
4. My boss allowed me to take a day off.
5 動きがある系 冷静さを感じさせるToか躍動感がある-ingを使う。

Screenshot (632)

To+動詞は「~すること」というイメージ。逆に、-ingで表される動詞は躍動感があり、リアルなイメージです。

 

-ingのイメージに関してはLang Leaves EducationのYouTubeビデオ「英語の時制:現在形」にてご覧頂けます。

1. I like to shop.
2. I like shopping.
3. I tried to call you.
4. I tried calling you.
6 報告系 文章内に、thatを使って更に別の文章を用いての丁寧な報告感。

Screenshot (633)

動詞+that(thatが省略されることも)。
※音読する時はthat前でひと息おきましょう。
1. I think that Riley is ready.
2. I promised that I will finish my homework by noon.
3. I hope my dream will come true.

さて、ここで「五文型」に戻ってみましょう。

第1文型:主語+動詞(S+V)
例)I run every morning.
第2文型:主語+動詞+補語(S+V+C)
例)I am a runner.
第3文型:主語+動詞+目的語(S+V+O)
例)I bought new shoes yesterday.
第4文型:主語+動詞+間接目的語+直接目的語(S+V+O+O)
例)I gave you new shoes.
第5文型:主語+動詞+目的語+補語(S+V+O+C)
例)I saw you running last night.

「典型的な動詞パターンのリスト」を見たことで、目に入る英文の印象が変わりましたか?

動詞パワーがどう動いているのか、ということなど、英文を受け取る時になんとなくイメージが湧くようになるまで、
しっかりと「典型的な動詞パターンのリスト」を自分の中で定着させましょう。

注意!

第2文型はよく「S=C」と表現されますが、それが間違いなこともあります。

第2文型:主語+動詞+補語(S+V+C)
例)I am a runner.

この文章は正しく解釈すると「Runnersというグループがあり、自分はそのうちの一人だ」という意味。
つまり、あくまでもRunnersという集合体の存在を感じているのです。単なる「私=ランナー」という認識ではないのです。

※ こういう些細なニュアンスを掴めるかどうかで、
ネイティブスピーカーのように英語を使えるようになるかが決まってきます。気を付けてくださいね。

もちろん、「S=C」の場合もあります。
例)Mount Fuji is the tallest mountain in Japan.

「富士山」も「日本一高い山」もそれぞれ一つしかなく、それが同一のものなので、この場合は「S=C」が成り立ちます。

言葉が話される順番は大事です。理由があるからこそ「その順番」で話されています。
話し手がどういう意図を以てしてその語順を選んだのか、ニュアンスを掴めるようになると良いですね。
そのためにも上記のリストを見て、それぞれのイメージを感じながら沢山の英文に触れていってください。

参考資料:大西泰斗、ポール・マクベイ (2005). 「ネイティブスピーカーの英文法是対基礎力」

 

 

英語の冠詞

英語の冠詞について簡単にご紹介しています。

 

不定冠詞 (a/an) ゼロ冠詞 (∅) 定冠詞 (the)
イメージ:any one

 

イメージ:無形
(存在すべき冠詞がない、という考え方をすることがポイント)
イメージ:”that one!” という感じの共通理解*
(特定したり限定したり)
例:an apple
実際に形を感じている。
どれでもOK感(指定なし)。
例:apple

形を感じない。単に辞書に書かれている定義を読んでいる感。

例:the apple
実際に形を感じている。
あのりんご」(指定感あり)。
例:a glass of water

不定冠詞のa を付けるとトレイに乗せた感じ。a set of ~、a series of ~も同じ。

例:water

液体なので物理的だけど容器がないと形を留めていられない、形がない感じ。ボワーッと感。

例:the water

あの水」感(指定あり)なので「コップに入った水」を指すこともあれば(例:Can you please pass me the water?)「海や川」を指すこともある(例:I can’t believe he went in the water! It’s still March!)。話し手と聞き手に共通理解があれば、その対象物は何でもOK。

例:I go to a school.
どこの学校かまでは詳しく表現していないけど、例えば「日本国内にある1つの学校」「ファッション系の、とある学校」というように集合体を意識したうえでの「1つの」学校に通っている、というイメージ。
例:I go to school.
こういう時は、学校の校舎の形を感じているというよりも、「学びの場」としての学校の概念を感じている。
例:I go to the school.
あの学校だよ」という指定感あり。特定している。

 

「定冠詞神話」に騙されないで!

定冠詞(The)使用に関して「同じ単語が繰り返し使われる際、2番目以降にはTheが付きます」と説明されることがありますが、これは「そういう場合もある」というだけ。
I have a book. The book is…という文章では、確かに2番目の冠詞としてTheが付けられていますが、これは「話し手と聞き手の共通理解がある例」なだけなのです。
必ずしも2番目以降だけがTheになるわけではなく、最初からTheを使う場合もあります。
例)The fact is that Dr. Lin prescribed unlawful drugs.:初めて聞くFactだとしても、That以下に具体的な説明がくることから、「The」を使って「Fact」の幅を最初から制限しています。
例)I live in an apartment overlooking the river.:聞き手が「その川」について何も知らないとしても、この文章内で「私の住んでいるアパートから見える川」という共通理解が生まれているので、「その川」について前述されていなくても、最初からここで「The river」と言ってしまうことも出来ます。

 

冠詞の理解ポイント!英語は「形があるか、ないか」で考えると分かりやすいですよ。(*^^*)

形があるなら…それについて情報を付けてあげましょう。
指定感のない「A (any) bear」? 指定感のある「The bear」? それとも「My/Your bear」?
こうして名詞の前にきて「名詞の情報を補う役割」をする品詞を「限定詞/Determiner」と呼びます。
限定詞の例:a/an, the, my, your, her, his, our, -‘s (as in Taro’s), this, that, these, those, all, some, many, two (and other numbers)
例えば、米国大統領の演説では米国のことを ”Our country” と言ったりします。実はこういうところに
話し手の気持ちが乗っかっています。同じように、冠詞も大事な情報を運んでいるのです。
形がないなら…そのままボワーッと感を出す表現でOKか(例:water)、仕切りを作ってあげた方が良いのか(例:a glass of water)ケースバイケースで判断していきます。
例えば「hug」は無形ですが、”Give me a hug.” というように冠詞を付けることがあります。これは
“Give me hug.” だと、どんなhugをどのくらいすれば良いのかイマイチ分からないから。”Give me a
hug.”は、「Any hug(どんなhug)でも良い」と、相手に親切に情報を伝えてあげているのです。

 

オモシロ小話。The を付ける?付けない?
1日の時間帯を示す単語に定冠詞のTheが付けられることが多いです(例:the morning, the afternoon, the evening)。これらの時間の範囲/区間は
「1日の中で今はこの時間」と言うように「感覚」で把握することが出来ます(一般的に、日が昇って正午までがmorning、そこから日没辺りまでがafternoon、そこから就寝前までがeveningですね)。
これは人によって微妙に異なる感覚ですので、共通理解のために冠詞のtheが必要になります

そしてnightですが、寝ている時間は範囲/区間としてではなく一つの塊として考えられます。
そのため心の中で時計の文字盤を指さすような感覚でatが使えるのです(at night)。
この時、冠詞(a/an/the) をとりませんが、これはat自身が「ダーツで狙っている感」を出しているので、冠詞を使って名詞を限定する必要がなくなるからです。
稀にin the nightという言い方もしますが、それはin the morningなどの用法が応用されて可能となっている表現方法です。

 

(より詳しい説明は、すずきひろし&ミツイ直子著「イラストで広がる英語の世界 前置詞編」をご覧ください。)

英語の前置詞

頻出度の高い英語の前置詞の運ぶイメージをご紹介しています。
より詳しい説明は「イラストで広がる英語の世界 ~前置詞編~」でご覧ください。

こちらでも At, In & On For & To について学んで頂けます。

 

前置詞 コアイメージ 例文
About 周辺。 My report was about the bird that I saw last night.
Above 基準点があって、それより「上の方」。 The airplane has to fly above the clouds.
Across 平面を横切る。 My office is across the street.
After 何かの後ろ。 After school, I have a piano lesson.
Against 対象物の「対」。 It’s hard to see the white subtitle against the light screen.
Along 何かに沿って。 We strolled along the coast.
Among ぼんやりしたグループ。 The apps are popular among college students.
Around グルリと一周する動き。 Please put the ribbon around the tree.
As 2つ物を天秤にかけるイメージ。 I worked as a volunteer.
At 全体を見渡して「今、ここ!」と指さすイメージ。 I’m working at Tokyo station.
Before 何かの「前」。 Oliver has to go home before five o’clock.
Behind 何かと比べた時に「後ろ」。 The doll is behind you.
Below 基準点があって、それより「下の方」。 Your temperature is below normal.
Beneath 隠すような感じで、すぐ下に。 The flower’s sprouted beneath the snow.
Beside 2つの物が、側に。隣り合って。 Come and sit beside me.
Besides 1つの物の「他に」。 Everyone besides me likes the singer.
Between 2つの物の間。 My neighbor and I planted trees between our front yards.
Beyond 境界線を越えた、向こう側。 My aunt’s store is open beyond nine o’clock.
But 逆。 I don’t like boys but I like Tom.
By 隔たりのある「傍」。 I will always stay by your side.
Concerning 向き合う気持ち。 Maya has a lot of questions concerning anger management.
Despite 後に続く物を振り落とす。 Despite the cold weather, the kids went swimming.
Down 下の方へ。 The sled went down the hill.
During 特定の期間内。 I studied Biology during my college years.
Except 外され感。 The whole class finished the project, except one student.
For 曖昧な物に向かって手を広げているイメージ。 This letter was sent for me.
From 矢印の起点。 Where did you come from?
In 立方的な物に入っているような感じ。 He is in the room.
Inside 境界線の内側。 Let’s keep all the fish inside the pool.
Into 立体的な物の中に入り込む。 He came into the room.
Like 対象物に向かう好意。 Heather is very kind like her mom.
Near 「近い」と思える距離感。 I live near Tokyo.
Of 帰属、対象。 Would you like a slice of cake?
Off 非接触。 I got off the train at Tokyo station.
On 重力を感じるような接触。 I walked on the beach.
Onto 着点に接触。 The spider is now moving onto the picture frame.
Outside 境界線の外側。 I don’t want your ball outside the line.
Over アーチ状の覆い。 I walk over the bridge.
Past 基準点を過ぎ去る。 My husband worked past midnight on a regular basis.
Regarding 何度もチラ見。 Here are some concerns regarding the new technology.
Since 和訳のままの「~から」のイメージ。 It’s been 8 years since we graduated!
Through トンネルの様な空間を横切るイメージ。 The train went through the tunnel.
Throughout 空間を通過し終えるイメージ。 There are cockroaches throughout the building!
To 到達点まで一直線に向かう矢印(→)。 Let’s go to the toy store!
Toward 到達点に向かっている感じ。 Our donation will go toward helping single-parent families.
Under 広がりのある物の「下」。 We sat under the tree.
Underneath 接着感のある「すぐ下」。 The sheets are underneath the towels.
Unlike 同じグループだけど違う「スペシャル感」。 Unlike many other soccer team’s in the Sunset League, the team Mighty Mights is coed.
Until 「変化の一点」を目指す感。 Maria kept reading her book until her boyfriend arrived.
Up 上の方へ。 He is lying face up.
Upon ジャンプして、ピョンと接触。 “When you wish upon a star…”
With 空間共有。双方向性。 Can you play with me?
Within 境界線の内側。 The school is located within a good neighborhood.
Without 「ない」「していない」状態。 I can’t live without her.

 

「イラストで広がる英語の世界 ~前置詞編~」すずきひろし&ミツイ直子 より引用。